2004.04.20 Tuesday 13:59

時評:自己責任論の虚妄

 イラク誘拐事件で解放された人質に対して、「自己責任論」という名の第2のテロが襲いかかっている。危険を承知でイラクに行って、事件に遭遇し、日本政府に迷惑をかけたのだから、謝罪せよという議論である。彼らが軽率だったのは確かだ。また、自分の身に降りかかる危険には自分で責任を取るべきである。しかし、彼らが取るべき責任は、強盗、殺人等の犯罪に合う危険である。イラク人あるいはイスラム教徒が日本に対する政治的主張を突きつけるために利用されるということは、彼らの責任の範囲外である。
 日本政府は、イラクの戦争は終わったといって自衛隊をイラクに派遣し、自衛隊は戦争に参加するのではなく、人道復興支援を行うという理由でこれを正当化した。政府の言うことを素直に信じる善良な国民であれば、日本がイラクで怨まれる理由など想像もつかず、政治的誘拐に巻き込まれる危険など思いも寄らない。イラクの戦争は終わった、自衛隊は安全な地域で復興支援を行うと政府が主張するなら、あの3人に危険を冒してイラクに行ったとなぜ非難できるのだろうか。
日本のメディアも同罪である。自衛隊派遣を正当化するために、イラクの戦況に関する真実を十分報道せず、政府に都合のよいような「戦後」のイラクの映像をさんざん流してきたではないか。
 自己責任論は、イラク戦争に関する日本政府の対応のミスを責任転嫁する議論である。アメリカによる不当な戦争を支持し、「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」とすごまれて自衛隊を派兵したという事実が、イラク人、イスラム教徒の日本に対する怨みをもたらした。あの3人はあくまで日本政府の方針がもたらした犠牲者である。

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