2017.12.12 Tuesday 17:05

リベラルの必要性


 紆余曲折の末に立憲民主党が結成され、リベラル派市民の受け皿ができたという議論が聞かれる。不勉強な若手学者やマスコミがリベラルを左翼と呼んだり、リベラルの支持基盤は細っていると言ったりしている。リベラルとは何か、混乱があるので、整理しておきたい。
 実は、日本政治においてリベラルは太い流れの1つである。特に戦前、軍部を恐れず戦争と独裁に反対した石橋湛山がリベラルの源流とされている。安倍政権の下で共謀罪など政府権力を強める立法が進められ、戦争に踏み込まんばかりの勇ましい言説が飛び交う今、この意味でのリベラルは大いに必要とされている。また、この理念を支持する国民も多い。
 この言葉が生まれたヨーロッパでは、個人の自由、特に経済的自由を尊重するという意味で使われたが、20世紀アメリカでは民主党の進歩派が、あらゆる人間に人間らしく自由に生きる権利を保障するという観点から、人種や性別による差別を許さないルールを確立し、貧困層に対しても生きる権利を保障するために政府が積極的に政策を展開するという意味で、リベラルの意味を転換した。
 立憲民主党が追求するリベラルは、日本における伝統的なリベラルに、社会的な平等や公正を志向するアメリカのリベラルを加味したものである。今の日本政治に必要な選択肢である。

東京新聞10月8日

2017.12.12 Tuesday 17:04

ばかばかしい選挙?


 今日は総選挙の投票日である。台風の接近もあり、首都圏は天気が悪いようだが、ともかく読者の皆さんには投票に行っていただきたい。
 今回の解散には大義がない、選挙の争点がわかりにくいと言われた。著名な評論家が、ばかばかしい選挙だから棄権しようとインターネット上で呼びかけたことも話題となった。しかし、国民がばかばかしい選挙、ばかばかしい政治に背を向け、遠ざかることができると思うのは錯覚である。国民の側が遠ざかったつもりになっても、ばかばかしい政治は常に国民に覆いかぶさる。そして、国民に増税や戦争といった不条理を押し付けるかもしれない。
 選挙で勝利して多数を占めた勢力は、自分たちの政策が国民の総意に基づくと主張するだろう。もちろん、それは虚構である。しかし、民主政治はそうした虚構の上に成り立たざるをえないのである。
 国民の半数だけが投票に行き、そのまた半分の票を得て多数派が権力を握れば、それこそ本物の虚構である。私たちは、虚構を少しでも現実に近づけるために、投票するしかない。様々な意見が投票で表現され、多数派がすれすれの勝利を収めるならば、彼らは自らの権力基盤が虚構であることを認識し、現実の民意を恐れ、少しは慎重に行動するだろう。冷笑とあきらめは民主主義を掘り崩す病原菌である。

東京新聞10月22日

2017.12.12 Tuesday 17:02

日米トンデモ合戦

 12日夜のNHKニュースを見ていたら、トランプ米大統領の暴言がトップで伝えられていた。NBCが伝えた大統領の核軍拡構想が誤報であるとして、放送免許の剥奪に言及したのが大ニュースだというのである。同じようなことは安倍政権の総務大臣も言ったことがあるが、あの時にNHKはこんな取り上げ方をしただろうかといぶかしく思った。
 それはともかく、トランプ大統領の感情的な発言や閣僚、側近との軋轢は常軌を逸している。特に北朝鮮と米国の緊張が高まる中、世界一の大国のトップがこんな不安定な人物で大丈夫かと心配になる。
 しかし、首脳のトンデモ発言は他人事ではない。安倍首相は北朝鮮を批判することを選挙戦の道具にしている。しかし、ロシアやヨーロッパ諸国、さらに実際に戦争が起これば多大な犠牲を強いられる韓国の首脳は、圧力をかけることと同時に政治的解決を求めている。対話は一切無意味で、圧力あるのみという安倍首相は、実は世界の孤児である。
 売り言葉に買い言葉の勢いで軍事衝突が起きる危険性が存在する中で、ひたすらトランプ大統領との盟友関係を強調することは、日本の安全を確保する道なのか、日本に災厄をもたらす道なのか。この点はこの総選挙で各党が現実を踏まえて真剣に議論すべき争点である。

東京新聞10月15日

2017.12.12 Tuesday 17:00

政治の堕落

 安倍政権や自民党に対する批判を繰り返さざるを得ないので、こちらも嫌になる。それにしても、麻生副総理の選挙における野党の収縮は「北朝鮮のおかげ」という発言は絶対に許せない。麻生氏の放言は政府首脳の本音であろう。
 選挙戦の中で、安倍首相は北朝鮮の脅威に屈しないと繰り返していた。朝鮮半島の緊張緩和のために日本が何をするかという具体的な政策は一切なしで、ともかく圧力を高めれば北朝鮮が態度を変えるというのが首相の主張だった。この主張は、真摯で賢明な外交戦略ではなく、国民の中に北朝鮮に対する恐怖と憎悪を煽るための政治的プロパガンダであった。麻生氏の本音は、はしなくもそのことを裏書きした。
 安倍首相は国難打開の選挙とも言った。しかし、国難を打開するための政策を論じるべき臨時国会は開かず、11月初旬に来日するトランプ大統領とゴルフに興じる予定である。ゴルフをしながら真剣な政策議論ができるとでもいうのか。
 こんなたるんだ政治指導者が、権力を維持するためだけに解散総選挙をうち、国民をたぶらかして勝利をおさめ、さらに憲法改正にまで手を付けるというのが最大の国難である。国会の中で野党は圧倒的少数である。市民が諦めず、ふざけるなという声を上げ続け、批判的な世論を持続するしかない。

東京新聞10月29日

2017.12.12 Tuesday 16:57

架空ゴルフ場密談

「ピコ太郎のディナーショーにヒデキとのゴルフ。まったく至れり尽くせりだな。」
「同盟国の指導者にして世界一のリーダーをお迎えしたのですから、これくらいの歓待は当然のことです。」
「しかし、わざわざ日本まで行って遊びほうけていると言われるのもまずい。仕事の話もしよう。例の隣の半島の独裁者の危険極まりない火遊び、何とかしなければ。」
「我が国としては、異次元の圧力をかけ、最後は力ずくでわがままをやめさせるという大統領の方針を断固支持します。」
「うちでは、特別検察官があら探しばかりした挙句、俺の側近を起訴して、政権運営で苦労させられている。戦争でも始めれば、国民も俺を支持するだろう。その時は日本もついてくるだろうな。」
「もちろん、どこまでもついていきます、靴底のチューインガム。」
「それにしても日本のソーリがうらやましいよ。自分の都合の良いときに議会を解散して、愚かな野党をやっつける。国民も、他にやりようはないとあきらめて、いつもあんたの政党に投票する。ソーリの提灯持ちのジャーナリストはレイプをしても捕まらないし。うまくできているなあ。」
「過度な民主主義は政治の混乱のもと。貴国に押し付けられた憲法を潜り抜け、合法的独裁を作り出した私は、政治の天才かもしれませんね。」

東京新聞11月5日

2017.12.12 Tuesday 16:56

永続敗戦の実態

 政治学者、白井聡氏が書いた『永続敗戦論』は日米関係を鋭利に分析する好著である。日米戦争に敗れた後、日本は米国の占領下で政治体制を再構築し、日米安保体制に組み込まれて、外交・安全保障に関しては従属国となった。ナショナリストを自称する保守派の政治家は、安全保障面での対米従属という現実からは目を背け、敗戦による憲法体制の変革に対する怨念を米国ではなく、国内向けに発散してきた。これが同書の要点である。
今回のトランプ訪日とそれをめぐるメディアの報道は、白井氏の議論を実証するものであった。米国は日本を最も重要なパートナーと考えているというのは日本側の勝手な思い込みである。最大のおもてなしであるはずのゴルフの場で、大統領は首相のミスショットにイラついてさっさと先に進み、ツイッターでは日本にたくさん買い物をさせたぜと、品のない自慢を書いていた。
メディア、特にNHKテレビは、もっぱら両首脳の蜜月関係をこれでもかと映していた。従属の現実を覆い隠すために国民を洗脳するようなものである。大統領の言いなりに武器を購入することの是非について深い検証を行ったのは7日の毎日の記事だけだった。
大統領を急いで追いかけようとしてバンカーの縁から転げ落ちた首相の姿は、日本という国そのものの象徴であった。

東京新聞11月12日

2017.12.12 Tuesday 16:55

世界で一番美しい?

 人間は人から褒められたい、批判されたくないという習性を持っている。毎日、魔法の鏡に向かって世界で一番美しい女性はだれかと問いかけ、それはあなたですと答えてもらって満足していた白雪姫の継母は、そうした自己中心的な人間の極端なモデルである。
 しかし、そうした自己愛は政治家の大敵である。お伽話ではなく、現実の世界では人間は常に誤る存在であり、国全体を誤りに巻き込めば国民が迷惑する。権力者に対しては、あなたは美しいと政治を言っていい気にさせる取り巻きではなく、理非曲直を正す目付け役が必要である。議会とは、権力者が誤っていないかどうかを詮議する目付け役の仕事場である。
 与党が野党の質問時間を大幅に減らそうとしているのは、国会の最も重要な機能を停止させることを意味する。先日の文部科学委員会の審議を見る限り、与党議員は権力者の太鼓持ちである。政府の閣僚と与党議員が大半の時間を費やすなら、国会は国権の最高機関ではなく、最高権力者に向かって世界で一番美しいのはあなたですとお追従を言う、魔法の鏡のようなものに成り下がる。
 審議時間の配分は、目立ちたい政治家同士の駆け引きなどではない。与党が野党の発言の機会そのものを奪おうとすることは、議会政治の危機なのである。

東京新聞11月19日

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