2017.12.12 Tuesday 16:57

架空ゴルフ場密談

「ピコ太郎のディナーショーにヒデキとのゴルフ。まったく至れり尽くせりだな。」
「同盟国の指導者にして世界一のリーダーをお迎えしたのですから、これくらいの歓待は当然のことです。」
「しかし、わざわざ日本まで行って遊びほうけていると言われるのもまずい。仕事の話もしよう。例の隣の半島の独裁者の危険極まりない火遊び、何とかしなければ。」
「我が国としては、異次元の圧力をかけ、最後は力ずくでわがままをやめさせるという大統領の方針を断固支持します。」
「うちでは、特別検察官があら探しばかりした挙句、俺の側近を起訴して、政権運営で苦労させられている。戦争でも始めれば、国民も俺を支持するだろう。その時は日本もついてくるだろうな。」
「もちろん、どこまでもついていきます、靴底のチューインガム。」
「それにしても日本のソーリがうらやましいよ。自分の都合の良いときに議会を解散して、愚かな野党をやっつける。国民も、他にやりようはないとあきらめて、いつもあんたの政党に投票する。ソーリの提灯持ちのジャーナリストはレイプをしても捕まらないし。うまくできているなあ。」
「過度な民主主義は政治の混乱のもと。貴国に押し付けられた憲法を潜り抜け、合法的独裁を作り出した私は、政治の天才かもしれませんね。」

東京新聞11月5日

2017.12.12 Tuesday 16:56

永続敗戦の実態

 政治学者、白井聡氏が書いた『永続敗戦論』は日米関係を鋭利に分析する好著である。日米戦争に敗れた後、日本は米国の占領下で政治体制を再構築し、日米安保体制に組み込まれて、外交・安全保障に関しては従属国となった。ナショナリストを自称する保守派の政治家は、安全保障面での対米従属という現実からは目を背け、敗戦による憲法体制の変革に対する怨念を米国ではなく、国内向けに発散してきた。これが同書の要点である。
今回のトランプ訪日とそれをめぐるメディアの報道は、白井氏の議論を実証するものであった。米国は日本を最も重要なパートナーと考えているというのは日本側の勝手な思い込みである。最大のおもてなしであるはずのゴルフの場で、大統領は首相のミスショットにイラついてさっさと先に進み、ツイッターでは日本にたくさん買い物をさせたぜと、品のない自慢を書いていた。
メディア、特にNHKテレビは、もっぱら両首脳の蜜月関係をこれでもかと映していた。従属の現実を覆い隠すために国民を洗脳するようなものである。大統領の言いなりに武器を購入することの是非について深い検証を行ったのは7日の毎日の記事だけだった。
大統領を急いで追いかけようとしてバンカーの縁から転げ落ちた首相の姿は、日本という国そのものの象徴であった。

東京新聞11月12日

2017.12.12 Tuesday 16:55

世界で一番美しい?

 人間は人から褒められたい、批判されたくないという習性を持っている。毎日、魔法の鏡に向かって世界で一番美しい女性はだれかと問いかけ、それはあなたですと答えてもらって満足していた白雪姫の継母は、そうした自己中心的な人間の極端なモデルである。
 しかし、そうした自己愛は政治家の大敵である。お伽話ではなく、現実の世界では人間は常に誤る存在であり、国全体を誤りに巻き込めば国民が迷惑する。権力者に対しては、あなたは美しいと政治を言っていい気にさせる取り巻きではなく、理非曲直を正す目付け役が必要である。議会とは、権力者が誤っていないかどうかを詮議する目付け役の仕事場である。
 与党が野党の質問時間を大幅に減らそうとしているのは、国会の最も重要な機能を停止させることを意味する。先日の文部科学委員会の審議を見る限り、与党議員は権力者の太鼓持ちである。政府の閣僚と与党議員が大半の時間を費やすなら、国会は国権の最高機関ではなく、最高権力者に向かって世界で一番美しいのはあなたですとお追従を言う、魔法の鏡のようなものに成り下がる。
 審議時間の配分は、目立ちたい政治家同士の駆け引きなどではない。与党が野党の発言の機会そのものを奪おうとすることは、議会政治の危機なのである。

東京新聞11月19日

2017.12.12 Tuesday 16:54

ルールの崩壊


 秩序のある社会とは、一般市民がルールを守ると同時に、世の中を統治する側もルールを守って仕事をする社会である。しかし、今の日本では、人々にルールを守らせる側が自分の都合の良いようにルールを伸ばしたり、縮めたりして、不公正で不愉快な社会ができつつある。
 ルールを伸ばすとは、本来法規則が立ち入るべきでない領域にまで踏み込んで、個人の自由を押さえつける現象である。生まれつき髪の毛の茶色い女子生徒に校則だからといって髪の毛を黒に染めさせた学校があった。身体の特徴を無理やり強制させるなど、教育の場ですべきことではない。さらに安倍政権は家庭教育支援法という法案を準備している。これは家庭や子育ての「あるべき姿」について、バカバカしい校則のようなものを法律の形で国民に押し付けようとするものである。
 ルールを縮めるとは、本来守るべきルールを自分たちには適用せず、好き勝手に権力を謳歌することである。森友学園に対する国有地売却の不当な値引きとそれに関する証拠の隠滅がその典型例である。会計検査院が不適切と指摘したにもかかわらず、大臣も官僚も問題ないと言い張って、一切責任を取ろうとしない。
 今の為政者は、ルールは常に国民を縛るもので、自分たちは何にも縛られないと錯覚している。ふざけるなと言いたい。
東京新聞11月26日

2017.12.12 Tuesday 16:53

沖縄と立憲主義

 先週、久しぶりに沖縄に行って、学者や新聞記者の友人から沖縄の現状について話を聞いた。中でも衝撃を受けたのは、集団的自衛権行使の体制は沖縄で着々と準備されているということだった。
 10月31日の朝日新聞に、自衛隊が海兵隊のような部隊を創設という記事が載った。このことの重要性を沖縄の人々から教えられたわけである。米海兵隊は、万一戦端が開かれた場合、沖縄が中国や朝鮮半島から近すぎるという理由で、グアムなどに撤退する計画を立てている。米軍が引いた後の空白を埋めるために、自衛隊に海兵隊のような部隊、水陸機動団を設置し、米軍基地に駐屯させる。辺野古の新基地も自衛隊が使うことになるのではないかと地元の人々は予想している。
 水陸機動団は有事の際の離島奪還を行う水陸両用作戦の実施部隊である。日本の領土を守る、あるいは奪還するための部隊だから自衛のための組織と一応は言えるのだろうが、装備や訓練では米軍と一体化しており、集団的自衛権行使の実際の担い手になる。琉球大学の島袋純教授は、水陸機動団が米軍の指揮で動き、日本の憲法を超えた行動をとる危険性があると指摘する。
 安保法制は違憲だと議論する段階は過ぎ、立憲主義が沖縄から崩壊する危機を防ぐため、実体的な防衛政策の議論をしなければならない。

東京新聞12月3日

2017.12.12 Tuesday 16:52

租税国家の危機

 安倍政権の目玉政策、人づくり革命の柱である子育て支援の充実のために、首相は経済界に3千億円の拠出を求めている。この負担の穴埋めのために雇用保険と労災保険の料率を引き下げるという新聞報道もあった。社会保障の財源は祭りの寄付とは違う。これは国の形をゆがめる奇策である。
 近代国家は租税国家と呼ばれる。国家の仕事は国民が払う税金によってまかなうという意味である。安倍政権が子育て支援を充実したいと思うなら、税金によって行うべきである。財源が足りないなら国民に説明し、負担増を提案すればよい。国民がどれだけ税を払い、どれだけの政策的便益を得るかを考えることこそ、民主政治の核心である。
 根拠不明の拠出金で子育て支援の充実を図れば、経済界の慈善で恩恵を及ぼすことになる。この政策の対象となる人々は経済界に恩義を感じさせられるだろう。しかし、それは人々の生きる権利を保障するという公共的政策の意義をそこなう。また、経済界はいつ心変わりして拠出を拒むか分からない。だからこうしたやり方では政策の継続性は確保されない。
 何より、大企業のごまかしや不正が次々と明るみに出る昨今のこと。このような超法規的慈善が企業の犯罪を隠蔽するための隠れ蓑になる恐れもある。こんなくだらない思い付きはつぶさなければならない。

東京新聞12月10日

2016.07.30 Saturday 14:42

The Japanese people's illusion of freedom


The 18th century Francophone philosopher Jean-Jacques Rousseau wrote as the following in “The Social Contract” in criticizing parliamentary politics: “The people of England regards itself as free; but it is grossly mistaken; it is free only during the election of members of parliament. As soon as they are elected, slavery overtakes it, and it is nothing.”

This criticism by Rousseau can be applied as it is to Prime Minister Shinzo Abe, particularly his betrayal of the Japanese people in his discussion regarding the Constitution. Since the beginning of this year, Prime Minister Abe has expressed his eagerness to revise the Constitution, especially the war-renouncing Article 9, and said he wanted to secure a two-thirds majority of the Upper House needed to initiate a constitutional amendment. However, Abe and his Liberal Democratic Party never touched on the issue during their campaign for the July 10 Upper House election. He essentially escaped from the topic as opposition parties built their campaign cooperation on their common cause of preventing revision of the Constitution.

And when his ruling coalition won the election and political forces in favor of constitutional revision captured the two-thirds majority of the Upper House, the prime minister said, “As for the question of which article of the Constitution should be changed and how, it is expected that the discussion would converge through talks at the Commission on the Constitution (in the Diet). The LDP has consistently advocated revising the Constitution, and it is my duty as president of the party to realize the party’s revision draft. Revising the Constitution is not so easy, since an amendment needs to be initiated with the support of at least the two-thirds of seats in both lower and upper chambers of the Diet. How to build up the two-thirds support on the basis of our party’s idea will indeed be a question of technique of politics.”

To call it “technique of politics” to forge a two-thirds majority consensus on the basis of the LDP’s revision draft is an outrageous attempt at justifying a sneak attack on the people. The LDP’s revision draft, if implemented, will restrict people’s basic rights to a degree “that they will not disrupt public order,” which can possibly result in enabling government authorities to suppress people’s expressions and demonstrations undesirable for those in power as a disruption of public order. The revision draft also makes it people’s obligation to respect what the LDP considers the nation’s tradition and family values. Just as Rousseau warned, the Japanese people can be turned into slaves.
The arrogance of the Abe administration is particularly evident in its policy toward Okinawa. Immediately after the Upper House election was over, the government began construction of a helipad for the U.S. military in its training range in Takae in the northern part of Okinawa Island. The police are using violence against local residents who protest against the move. The national government has also filed a legal action against Okinawa Gov. Takeshi Onaga to confirm illegality of the governor’s decision to cancel his predecessor’s go-ahead for reclamation work to build a new U.S. military facility to replace the U.S. Marine Corp’s Air Station Futenma.

The intentions of Okinawa voters have been repeatedly made clear in recent elections. The Upper House election saw the incumbent Cabinet minister in charge of Okinawa issues lose her Okinawa constituency seat by a large margin. There are no longer any ruling coalition Diet members elected from Okinawan constituencies. But Prime Minister Abe does not seem to care — perhaps the people of Okinawa are not among Japan’s electorate in his mind. For him, the ballots cast by Okinawan voters must be just empty slips of paper.

The problem is that most Japanese people do not seem to regret having chosen such an arrogant leader to take the helm of government. Post-election media surveys clearly indicate that voters have anxiety over the future course of the administration, with one survey by the Asahi Shimbun showing that 48 percent of the respondents say they are “more concerned than hopeful” about Abe’s policies, compared with 35 percent who say they are more hopeful than concerned. The same Asahi poll said 35 percent of the respondents favor revising the Constitution, compared with 43 percent who oppose the revision. However, such concerns on the part of the people do not necessarily translate into political action by them.
In the ongoing Tokyo gubernatorial race, a female candidate who favors revising the Constitution, suggests arming Japan with nuclear weapons and has ties to an organization that promotes racist hate speech is said to be collecting the most support among voters — just because she ran for the election without the LDP’s organized support. Could it be that the Japanese, after all, are an obedient herd of sheep?

Japan Times, July 28


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