2011.09.05 Monday 12:50

国民投票と民主主義

 

 

 福島第1原発の事故以来、日本のエネルギー政策をどうするか、議論が高まっています。今までの政策も、一応手続き的には民主主義の中で決められてきました。しかし、実質的には一握りの専門家が議論を取り仕切り、政治家もそれを追認するばかりでした。また、原発を受け入れた地元自治体には巨額の交付金が投下され、金の力で議論を封じるという手法がまかり通ってきました。その意味では、原発推進は民主主義の不足の結果ということができます。

 したがって、これからのエネルギー政策を考える際には、民主主義を徹底するという発想が必要です。民主化の試みの1つとして、国民投票を求める運動があります。先日イタリアでは国民投票によって脱原発の路線が決まりました。日本の憲法では国会が唯一の立法機関と規定されているので、国民投票によって法律を変えることはできません。しかし、投票で表明された民意には大きな権威があります。

私も、国民(住民)投票を政治参加の1つの手段として持つべきだと思います。しかし、国民投票が成功するためにはいくつかの条件が必要です。何よりも必要なのは、投票までに時間をかけて、しっかり議論することです。投票という結果ではなく、各人が意思表示至るまでの議論と思考の過程こそが重要なのです。たとえば、一九九六年に新潟県の旧巻町で原子力発電所用地に町有地を売却するかどうかを問うた住民投票が行われました。また、二〇〇〇年には徳島市で吉野川可動堰を建設するかどうかの住民投票が行われました。いずれの地域においても、住民は勉強会を何度も行い、それぞれの施設の必要性、まちの将来への影響について議論を重ねました。そして、ノーという結論を出しました。従来の専門家主導の政策形成における民主主義の不在を、住民の議論が補ったのです。

しかし、議論の積み上げなしでいきなりイエス、ノーを問う投票を行えば、人々の気分や感情で重要な物事が決まる危険があります。AKB48の総選挙ならば好き嫌いで投票すればよいのですが、国民(住民)の命運を左右する政策課題についてはそうであってはなりません。たとえば、今年二月に名古屋市で行われた市議会解散の住民投票においては、河村たかし市長の推進する市民税減税という政策について、掘り下げた議論は存在しなかったように思えます。

二大政党は重要な政策について明確な姿勢を示せず、党の中に様々な意見が入り乱れている状態です。国民投票の運動を盛り上げていけば、必然的に政治家も自分自身の意見を持たざるを得なくなるでしょう。その意味では、直接民主政治が機能不全に陥っている政党政治を鍛えるという効果も期待できると思います。

第三文明9月号


Comment:
2011/09/05 2:04 PM, noga wrote:
日本人には、世界観 (world view) がない。世界観に基づく意見もない。
だから、皆同じに見えている。だが、一億一心ではない。
それぞれが日和見主義 (機会主義) である。

日本語には階称があるので、日本人は個人個人がばらばらではなく、議員は党派的であり、派閥グループ的である。
議会は、与党と野党に分かれて対立するが、さらに党内野党もあるので、政局は安定しない。
世界観を語らずして党内融和を図ることはむずかしい。人間として必要な信頼が得られない。

意見 (考え) は、各人で違っている。
だが、一つの意見を選んで、それを社会の意見とすれば、代表制民主主義がなりたつ。
だから、有権者は、個人的な意見の違いを把握して個人選び (投票) をしなければならない。
ある特定の個人の意見を社会の意見と認めることができれば、議会政治もうまくゆくのだが、我が国にはそのための個人主義がない。

意思は未来時制の内容であり、日本語に時制はない。
それで、日本人に、周到な現実対応策はなく、問題の解決能力がない。
あるのは、実況放送と現状報告の内容ばかりである。
本人に自分の意見を述べる意欲もなく、相手に話者の意見を把握する努力もない。
これでは、議論はできない。いつも静かに笑っている。

あるのは、事実関係調べだけである。有るものはある。無いものはない。
日本人の暮らしは、子供の走り使いのようなものである。
必要なものを自分自ら獲得するのが大人の態度であるが、それができない。
日本人は子供の態度でいる。いまだに、神 (親) 頼みでいる。

自己の意思がない人には、能動がない。
周囲の者から、「そこは、ああするものだ」、「ここは、こうするものだ」と入れ知恵されて、それを行う。
他力本願である人の心は、被害者意識に満ち満ちている。
その思いに耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶ。

意思のないところには責任もなく、成り行き任せになる。
これが自然の状態であるとして、満足しているようにも見える。が、人間主義がない。
行方も知れぬ、日本人の道かな。

http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/terasima/diary/200812

2011/09/16 10:54 AM, 緒口幹夫 wrote:
医者は手術に失敗したならば、裁判を起こされたり、評判がおち収入が減る。 学者が専門分野で言い放しで責任をとらないのはおかしい。ましてや支持政党の失政を非難するなんて、自分の小便を自分の顔にかけているようなもの。民主党の成り立ちや幹部の人間性、経歴をみれば民主党には政権につくのが早いのは市井でちょっと苦労している人間ならばすぐわかるはず。岡山県人として恥ずかしい。
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