2010.12.18 Saturday 00:00

何のための政権交代だったのか

 

 臨時国会がともかく終わりいよいよ予算編成だと思ったら、民主党の内紛が勃発した。当事者たちは連立の組み替えや再編に発展する可能性もはらむと意気込んでいるようだが、永田町の外側からは単なる派閥争いにしか見えない。予算編成をそっちのけにして派閥抗争にうつつを抜かすとしたら、民主党の政治家の無責任さは自民党にも劣ると言わなければならない。

 すでにたびたび述べたように、私は小沢こそ政権交代の最大の立役者だと思っている。日本の政党政治を次の段階に進めた功績は極めて大きい。だからこそ晩節を汚すなと言いたい。小沢の資金問題に関する検察のやり口にはいろいろと批判すべき点がある。それにしても公開の場で説明することは政治家の使命である。自らの資金問題によって政権交代の意義が否定されることを小沢は口惜しく思わないのだろうか。日本の政党政治を前に進めるために自分は捨て石になると言えば、小沢は歴史に名を残せるであろうにと、残念に思う。

 今回の予算編成は、民主党政権が初めてすべて自分で決めるものである。そこでこそ民主党の言う生活第一の真価が問われる。財源が乏しい中で何に予算を投入するのかを政府与党で決めてこそ、政治主導が実現するのである。くだらない派閥争いをする暇があったら、どの予算を削り、どれを残すのか、まじめに議論しろと言いたい。

 このようなまっとうな批判が届かないとするならば、もはや民主党に政権を担う資格はないと言わなければならない。私は長い間民主党を軸とした政権交代を主張してきた。民主党という政党にはいろいろな政治家がいて政策に即した再編が必要だという議論にも理由があると思いながら、政権交代までは民主党を割ってはならないと言い続けてきた。しかし、政権を取った民主党が混迷を深めている現状を見れば、民主党は政権交代までの政党だったのかという思いを強めている。

 それにしても、議論のないところに連立組み替えも、再編もない。政権交代が起こっても、基本的な問題についてはほとんど議論がされていない。小泉構造改革の総括、政府の役割の大きさと国民負担のあるべき水準、イラク戦争に追随した日本外交の総括、アジアの中でいかに生きていくかという構想など、この機会に論じなければならないことがいくつかある。菅直人首相は、世論の受けを狙って、思いつきでTPPへの参加、武器輸出三原則や防衛大綱の見直しなどを提起した。これらは首相の思惑や思いつきで議論してはならないテーマである。また、民主党、自民党の中にいろいろな考えがあるので、ここの政治家が見識と良心に基づいて議論すべき問題である。

 民主党の小沢グループは小沢問題の扱いをめぐって議員総会を要求している。私はそうした低次元の話ではなく、これからの日本の方向を左右する重要問題について政治家による議論を確保するために、エンドレスの会議を開くべきだと思う。

 菅政権がここまで混沌とした今、政権立て直しの妙案などない。そんなものをさがすよりも、ここで急に浮上してきた重要課題について、政治家が真剣に議論する姿勢を示すことが政治への信頼回復の第一歩である。


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