今、「インビクタス」という映画が上映されている。是非読者の皆さんにも見てほしい感動的な作品である。監督のクリント・イーストウッドは、「グラン・トリノ」をはじめとして、最近人間の許しや共存をテーマにした傑作を世に送っている。一連の作品からは、彼の共生社会に向けた理念が伝わってくる。
この作品は、南アフリカでアパルトヘイトが廃止された後、黒人として初めて大統領になったネルソン・マンデラが、1995年に開催されたラグビーのワールドカップを契機に民族の融和を図る苦心を描いている。
ラグビーと言えば、白人文化の象徴であり、多数派になった黒人は南アフリカチームの名前や紋章を変えようとした。しかし、マンデラはその動きを止めた。復讐心に駆られてそのようなことをしては、黒人は昔の白人と同じものになってしまう。黒人こそ、差別者が持っていなかった寛大さや共感を発揮しようと訴えた。この場面を見て、改めてマンデラの偉大さを思い知った。
我が国の首相も友愛を叫んでいたはずだが、今はどうなったのだろう。高校無償化から朝鮮学校を外すなどという愚挙を容認するようでは、まさに人権、人道をわきまえない独裁者と同じ次元に落ち込んでいくだけである。(東京新聞2010年2月28日)
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