2008.01.28 Monday 22:18

08年1月:見えてこない民主党の政権戦略

 通常国会が始まり、来年度予算と関連法案をめぐる論戦に政治の焦点は移った。臨時国会では、国民生活に関係のないテロ対策新法が最大の争点であり、与野党がそれぞれの主張をぶつけ合うだけでも、実害はなかった。むしろ、一度海上自衛隊がインド洋から撤収することで、政府の言う国際貢献がいかに空虚なものか、学習することができた。ねじれ国会において法案がなかなか成立しないことにも、大きな効用があったと言わなければならない。

 しかし、通常国会での論戦では、与野党が自説を言いっぱなしというわけにいかない。新年度の行政を円滑に進めるためには、今年度内に予算と関連法案を成立させなければならないからである。本来であれば、予算や税制をめぐる論戦を通して、自民党と民主党が自らの政権構想を戦わせ、国民の前に選択肢を提示し、次の総選挙に向けて有意義な戦いを繰り広げるという展開が望ましい。しかし、政治は理屈通りにはいかないものである。

 最近、親しい官僚や新聞記者と、民主党が政権を取っても大丈夫だろうかという話をすることが多い。私は今年の年賀状に、「何はともあれ政権交代」と書いたくらい、政権交代に対する強い思いを持っている。しかし、今では、「民主党が政権を取ると世の中大混乱が起こるかも知れない。この私が心配するくらいだから、事態は深刻だ」と、弱気なことを言うようになった。その理由は、民主党の政策論議の頼りなさにある。

 この国会の最大の争点は、揮発油税の暫定税率を維持するか、廃止するかという点である。民主党は暫定税率を廃止してガソリン価格を1リットルあたり25円引き下げることを通常国会の最大の公約にしている。この主張を聞いていると朝三暮四という中国の故事を思い出す。王様が飼っている猿に、トチの実を朝3個、夕方4個与えると猿は少ないと起こり、朝4個、夕方3個与えると喜んだという話である。

 民主党はその政権構想、「マグナカルタ」において、環境を軸にすべての政策を見直すことを宣言したはずである。この路線と暫定税率廃止はどのようにつながるのであろうか。仮に石油価格高騰に悩む国民のために緊急対策としてガソリン価格を引き下げるとしても、将来環境税や炭素税という視点から石油をめぐる税制をどうするかを語らなければ、政権を目指す政党とは言えない。ガソリンの値下がりは、参議院の与野党逆転がもたらす目に見える成果になるかも知れない。しかし、これはあくまで局地戦のテーマである。ガソリン問題で解散総選挙に追い込むというのは、戦術と戦略を取り違えた議論である。

 昨年の参議院選挙では、国民は民主党の言う「生活第一」というスローガンに期待して、民主党を参議院第1党に押し上げたのである。しかし、臨時国会ではテロ特措法を最大の争点にしてしまい、通常国会ではガソリン問題に過度に集中してしまい、生活第一の全体像がいっこうに深まっていない。このような状況が続けば、民主党政権に対する期待も広がらないであろう。

 私は、研究費を使って昨年11月末に全国で約千五百サンプルの世論調査を行った。詳しい紹介は別の機会に行うつもりだが、これからの政党政治を考える上できわめて興味深い現実が浮かび上がった。

 たとえば、これからの生活のイメージを尋ねる問いに対して、安心、おおよそ安心という楽観派が全体では28%、不安、やや不安という悲観派が71%であった。政党支持とクロスさせてみると、自民党支持者では楽観派が39%で、悲観派が59%だったのに対して、民主党支持者では悲観派が78%で楽観派が20%であり、全体の傾向とかなり異なっていた。自民党が相対的に豊かな人々の支持を集めているのに対して、民主党はまさに生活の将来不安を抱えている人々の支持を集めているのである。

 また、これからの生活を脅かすものを選ぶ質問に対しては、年金破綻、医療崩壊、環境破壊が上位を占めた。この点については、支持政党による違いはほとんどない。社会保障の信頼性が低下していることが、国民の生活不安の原因であることが分かる。また、地球環境問題に対する危機感が高まっていることも注目される。

 さらに、日本がこれから目指すべき社会モデルとして、アメリカ型競争社会、北欧型福祉社会、日本的な終身雇用システムという三つから選ぶという質問に対しては、北欧型が58%と最も多く、日本型への回帰が32%と続き、アメリカ型はわずか7%弱の支持しかなかった。政党支持との関連では、自民党支持者で北欧型を支持するのは約50%で、他党支持者よりもかなり低い。また、伝統回帰を支持する者が40%あまりで、他党支持者よりもかなり高い。

 繰り返しになるが、民主党の生活第一路線は民主党支持者の現状認識とぴったり呼応した。その点こそ、民主党支持が底堅いことの理由であろう。これからさらに、そのような支持者の思いに応え、新たな政権構想を打ち出す際には、年金と医療を軸とした社会保障政策を提示し、人々の生活不安を解消することこそ喫緊の急務である。

 今の民主党を見ていて感じる最大の不満は、国会対策ばかりが目立ち、政策論議の過程がさっぱり見えてこない点である。確かに、政治には権力闘争という側面もあり、国会を主戦場に与党と対決することも必要である。しかし、国民に対しては常に、民主党が政権を取った時に日本社会はどうなるかという具体的なメッセージを伝え続けなければならない。そのメッセージがガソリン値下げだけでは、情けない。

 政府の進めてきた改革という名の社会保障の破壊を批判し、自らの対案を示すことと、総合的なビジョンを示すことを車の両輪のように進めることこそ、政権交代への王道である。(週刊東洋経済2月2日)

Comment:
2008/01/30 8:02 PM, ♪やまっち3♪ wrote:
そうですね…。ガソリン税の値下げも確かに結構な話なのですが、年収200万円以下の就労者が550万人いるこの国では(確か全就労3100万人)そちらの議題を優先させたほうが良さそうです。
日本沈没になる前にねw
2008/02/22 8:24 AM, タカハシ wrote:
基本論は賛成ですが、暫定税率に限っては、やはり無くしてガソリン等を安くすべきです。
 昨年の参議院選挙で政治がおもしろくなったが、生活改善につながる目に見える成果は上がっていない。この暫定税率が廃止されれば生活改善が実現するわけで、それは日本の庶民にとってかってない投票の成果であり、政治への関心をいっそう高めることになります。道路特定財源の一般財源化も大いなる生活改善につながります。
 日本の革新政党は、自衛隊や日米安保は憲法違反だ、ということに精力を傾注してきましたが、結局だいたい容認することになっており、その点が大衆の信用を失う大きな原因になっています。あらゆる商品の値上がりが続く中、参議院選挙結果がもたらした政治の力で、国民みんなに関係ある商品の価格が安くなる、ということが国民の政治意識に与える影響を考えてもらいたい。
2009/01/23 9:07 PM, えもんかけハンガーのこと wrote:
さもしい総理がイタリア主要首脳サミット会議行きたいそうだ。もはやそこまで罵倒されても業界指導や行政改革担当大臣に任せたというだらだら政権統治なら所得税や法人税を増税しないなら消費税はゼロにしろ!働く職場を奪っている意識がないものに減税する必要はない。広告税なり資産税をとるなり努力が足りない。行政改革もなし戻し消費税ペイオフのざる消費税は認められない。世襲が富豪のいいなりばかりを聞き圧殺政策を半分承認総理が,どしどし進める。内需は死ねえ、内需は死ねえ、内需は死ねえの政策を是正しないかぎり与野党の死んだ政治家の道義的責任はスーダラ無責任節だ。外需しか伸ばせないならたっぷり税をとれ。政官財のうち財からたっぷりとったならなぜ政策から官僚税金か官僚解雇出来ないのか腐るほど溜め込んでいるはずだ。官公庁が政治家からたっぷり税をとるなりをすればよいのだ。なにが医療だ介護だ福祉だ、たっぷり削っているではないか。それは庶民の医療や介護や福祉を取り上げたぶんで政官財が官民や公民に渡す取り分天下り分なのだ雇用国土に植樹して勤労危機を沈静化したうえでなければ認められない二年間で上記の改革をやりっぱなしでイタリア訪問は贅沢税課税しろ
2009/02/02 1:05 AM, 衣紋掛け ハンガー wrote:
内需環境大臣 外務官僚長官 労働交通省 科学福祉大臣 法務通産大臣 電子手書大臣 これくらい 思いきった事をせねばだめだ。相反するいやな部門と抱き合わせ省庁を 掛け持ちし 公族院 民族院 消費者監視院 つまり 政界 財界 庶民投票 三院制度だな 無理なはなしだが 官民 公民 庶民 財民 と 内閣総理大臣を決めるため衆議院候補 政党 内閣総理大臣 を解散したら投票に書いてもらうわけ いきなり内閣総理大臣は つまり与党 と 野党 と 庶民 が 書いた人物で争うわけだ つまり与党でも野党でもない人物が上がってくる 二次投票で上がってきたひとに 与党と野党から一名づつ選んで 今度は 衆議院なり 参議院 かしらんが内閣総理大臣が満場一致で決まるやり方だな 今回の様な 問題責任決議案の改良 や 総理権限 ねじれにならないように 何か 超党派でもで今回の解消につながる何かが いるだろう 喉もと過ぎればではなく まだ9月まで あるんだし 問題は政権 とれば 忘れちまう従来政治の 繰り返しだな たぶん100年に一度で 1番最後に 世界で景気回復するわ 今のまんま そのまんま東では 遷 都の現象は官制政治や党人政治の横暴だと きづかないと
2009/02/11 3:27 PM,  wrote:
民主党批判に在日地方参政権や官民押し貸し事業や日教組横暴のちが語られる不利をいかに民主党は自民党と違う改革をするかだ。民主党がどの党派閥から今回は内閣総理大臣を出すかだが、今回は民主党から総理大臣を出して二大政党をつくりたい思考回路から試行錯誤にならない様に野党間での政策や信条を越えて『内需を妨げる媚役人偏重政治を改めるかだ』折角統一会派が出来たならやはり内閣総理大臣が出来たなら次は閣僚大臣に無所属からや野党から内閣総理大臣に考えが近い野党生え抜きを出すしかない、前回は確か細川(日本新党)村山(社民党)羽田(新生党)で自民党に戻ったを考えれば、やはり小沢(自由党)鳩山(民主党)そのあとが問題だ。内閣総理大臣,国務内務め大臣,国務外務大臣が重要だ 内大臣はいまや官房長官や幹事長や総務会長と、また違う意味で3権分立になっている、つまりは農水や財務や社保険庁などかなり統合配合したがかつての大蔵省や金融省や通信省や通産省など 温故知新や 抱き併せ兼務などで 損な役職周りと官公庁への管轄所轄争いを仲裁するような内閣総理大臣や担当大臣の権威を復権出来るかにある。縦割り行政を是正するなら官僚ポストに事務次官や競合局長が官公庁民則ち官民人材交流機構になるしかない。従来の党人政治家と官人政治家だ、日銀総裁や問題の起きやすい部署に所轄争いが総理や担当大臣に自爆テロを起こされても行政改革で消費税ありきでなく政府紙幣などで官公庁で不採算した地方財政にまず応急処置をしなおかつ政権大臣が変わったり内閣人事が変わる事にアメリカのように大臣に三面から戦う政治家がいるのだ、橋下 徹氏にしても東国原 英夫氏にしても国と地方とで都道府県事に両方と戦っている大阪市と大阪府のような地域が未来永劫続くのだから、庶民や消費者を国民の茅の外に投げ出さない、力量のある市民を政治の場に 初期統一会派と民主党が 内閣組閣において 単独派閥政権になろうが組み併せてゆくのだろう、このあたりが初代総理の手腕のみせどころだ、壊すのも大事だがまとめるのが得意な総理でなければ短命となるだろう。
2009/08/12 10:44 PM, - wrote:
管理者の承認待ちコメントです。
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