2018.11.22 Thursday 16:33

法の支配と裁判所

 安倍政治の特徴は、人の支配である。近代国家の大原則は法の支配である。この原理は、我々人民がおとなしく法を遵守するのではなく、権力者が法に基づいて統治をおこなうことを意味する。権力者が己の欲望のままに、反対者を力ずくで弾圧したり、公共財産を私物化したりすることを防ぐために、法の支配は確立された。
 森友・加計問題に現れているのは、最高権力者による権力の私物化である。沖縄県知事による辺野古埋め立て許可の撤回に対しては、防衛大臣が私人の立場になり替わり、行政不服審査という人権救済の仕組みを悪用して撤回の効力を停止し、埋め立て再開を実現した。
 法の支配を回復するためには、司法が法の番人としての役割を果たすことが必要である。しかし、原発、辺野古埋め立てなど政府がかかわる案件では、裁判所は政府を勝たせ続けている。最高裁判所判事の人事権を内閣が握っているので、巨大な官僚機構である裁判所は内閣の意向を忖度する。政治的な案件は多数者の意思に任せるというのがその理屈である。
 そもそも裁判とは、多数者が憲法や法律を無視した意思決定を下す可能性を前提とし、多数者の誤りを正すためにある。裁判所が多数意思をチェックするという本来の役割を果たすよう、監視が必要である。

東京新聞11月4日

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