24日の新聞に、原子力損害賠償法の改正案がまとまったが、基本的な骨格は現行法のままで、自己の際の政府の責任もあいまいにされたという記事があった。福島第一原発事故の教訓は忘れ去られ、政府と電力会社は事故の際の補償について展望のないままに再稼働を進めようとしている。
25日のテレビニュースは、森友学園に対する国有地売却をめぐる公文書の改ざんについて、現場の近畿財務局のOBが野党議員のヒアリングに応じ、実態を話したことを伝えた。改ざんに手を染めた職員は自殺し、それを指示した側はのうのうと生き延びている。
日本は無責任国家である。公権力を行使する為政者とその近くで影響を持つ経済人などは、犯罪的なことをしでかしても、多くの人々を苦しめても、罪に問われることはなく、地位を失うこともまれである。
折しも、安田純平氏が解放され、無事帰国した。案の定というべきか、一部からは「自己責任」という非難が吹き荒れている。そう、日本では責任という言葉は、貧困状態にある弱者や、政府の勧告を無視して取材を敢行した独立心に富むジャーナリストを攻撃する武器なのである。自己責任という意味不明な言葉で他人を攻撃する者は、権力者の無責任に目をつぶり、自己満足を求めているだけである。
東京新聞10月28日
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