2018.10.23 Tuesday 18:19

学生の貧困


 前期の政治学の期末試験に、「あなたが今抱えている問題で、個人や家族の力で解決できないものをあげて、政治の力でそれを解決するための戦略を考えなさい」という問題を事前に公開し、準備させた。すると、「年収103万円の壁」を挙げた学生が十人くらいいた。
 103万円の壁とは、パート主婦の収入が103万円を超えれば所得税を課税されるようになり、夫の扶養家族の地位を失うので、かえって不利益になるという話である。私は、この話は主婦のパートに関するものと思い込んでいたのだが、学生のアルバイトにも当てはまることを知って、愕然とした。格差や貧困という問題が若者の中に広がっていることは知っているつもりだったが、若者の苦労の度合いを再認識させられた。
 学生は、遊興費ではなく、生活費や学費を稼ぐために働いているのである。1年に百万円稼ごうと思えば、およそ千時間働くことを意味する。そうなると、勉強時間を十分に確保できないだろう。切ないというか、いたたまれない思いである。
 この数年、文科省は大学教育の中身を充実させろと強調してきた。教師として異論はない。それにしても、学生に勉学に専念できる環境を整えなければ、教育の充実は空念仏に終わる。給付型奨学金の拡大など、政策の展開が急務である。


東京新聞8月12日

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