2018.10.23 Tuesday 18:13

新たな全体主義


 政治学の講義の中で、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』を紹介しながら、全体主義について解説している。全体主義という概念は、あの国は全体主義、この国は民主主義と分類するためのレッテルでもない。自分たちがいま生きているこの社会の中に全体主義的な要素が萌しているかどうかを検証する物差しである。
 オーウェルは、2+2が4か5か不確かで、支配者が5と言ったらみんな5だと心から信じなければならない体制が全体主義だと言った。その時に2+2が4だと言い張れば、反逆者として処断される。去年、安倍首相は森友学園への国有地廉売に自分や妻がかかわっていたら辞めると啖呵を切ったが、今年、関わったというのは賄賂のやり取りという意味だと自分の発言内容をすり替えた。つまり、今の日本は、為政者の都合で2+2が4になったり5になったりする点で全体主義に近い。
 ただ、今の日本では4だと言い張る人間も存在を許される。その点では完全な全体主義ではない。しかし、いくつかのメディアも多くの国民も、為政者が5だと言ったらそうかもしれない、いつまでも4だとこだわるのもカッコ悪いと思っているようだ。真実に固執する人間を社会から遊離させるのが21世紀型のソフトな全体主義なのだろう。

東京新聞7月1日

Comment:
Add a comment:









 
RECOMMEND
CALENDAR
NEW ENTRY
ARCHIVES
CATEGORY
COMMENT
PROFILE
MOBILE
LINK
SEARCH
OTHER

(C) 2018 ブログ JUGEM Some Rights Reserved.