2015.11.27 Friday 23:11

市民が作る選挙

 


 安保法制反対運動は新しい政治文化を作り出した。そのことは、日本の政治にとっての大きな希望である。1120日、私が共同代表を務める立憲デモクラシーの会は、札幌でもシンポジウムを開いた。私ともう一人のメンバーが講演し、札幌で運動をした女性、学生にパネルディスカッションに加わってもらった。我田引水で恐縮だが、その学生は私が北大で行った最後の政治学の授業を1年生の時に聴いて、そこで説明された概念を使って安保法制の政治過程を深く見通すことができたと発言した。教師としては、これ以上の幸せはない。

 安保法反対運動は、伝統的な平和団体だけが支えたのではない。今までこの種の運動に参加したことのない人々が動き出した。「アベ政治を許さない」という金子兜太先生の書になるプレートをかばんにつけるのも、有意義な意思表示である。おかしいことに対しておかしいと声を上げ、社会に対して働き掛ける人は、安保法反対運動を契機に増えた。

 もちろん、法律を作る、廃止するという作業は国会にしかできない。市民運動が政策を実現したいと思うとき、政治にかかわるのは当然である。安保法制反対運動に参加した人々から野党はまとまれという要求が出て、共産党の志位和夫委員長は野党結集を提案した。しかし、それから2か月以上がたつというのに、野党がまとまって選挙を戦う体制はできていない。特に、野党第一党の民主党の消極性が目に余る。

 もはや政党同士の話し合いを見守るなどという悠長なことを言っている段階ではなくなった。政党のメンツや主導権が邪魔して協力ができないのなら、市民が政党政治の外側に集まって議論のテーブルを設定し、立憲政治と平和を回復するための理念を練り、各党に協力を呼び掛けるという手順を取ることが必要である。資金や組織のない市民が選挙を仕切れるほど政治は甘くない。しかし、候補者の擁立と基本的な政策・理念の立案の作業から市民が議論を主導し、自分の問題として選挙に参加するような仕掛けを作ることは可能である。

 次の国政選挙は来年夏の参議院選挙であるが、北海道では来年4月に衆議院第5区の補欠選挙が行われる。したがって、来年の政治の流れを北海道が決めると言っても過言ではない。また、参議院選挙の北海道選挙区では定数が3に増える。自民と民主が1つずつ分け合う無風選挙ではなく、実質的な選挙戦が期待される。これらの選挙で、市民主導の選挙戦が実現すれば、選挙戦は一層盛り上がるだろう。

 デモや運動における政治文化の創造が、選挙における政治文化の刷新につながるだろうか。現実には多くのハードルがあるが、今は想像力をめぐらせることが必要である。


朝日新聞北海道版11月26日


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