2013.01.10 Thursday 19:00

政党政治の危機をどう乗り越えるか

1 政権交代の帰結

 1116日に野田佳彦首相が衆議院を解散し、政権交代の意義と民主党政権の成果を問う総選挙が始まった。9月の内閣改造を見れば野田政権の弱体化は明らかで、解散は時間の問題であった。民主党にとっては、来るべき総選挙で政権交代の意義と限界を明らかにした上で、今後の課題を明確にし、民主党政権の継続か自民党政権への回帰かを問う論争の枠組みを作ることが急務であった。11月のはじめ、そうした危機感を持つベテラン議員の依頼を受けて、私は政権の評価と政策の基軸を明らかにする文書を起草する作業を始めようとしていたところであった。突然の解散は、政権交代の意義について自ら国民に語りかけ、選択肢を整理する機会を放棄したことを意味する。解散に至る経緯と、メディアの報道、評価の仕方を振り返ると、政権交代が竜頭蛇尾に終わった理由が浮かび上がってくる。

 改めてこれまでの経過を要約しておこう。1112日の週明けから、読売、毎日などに早期解散の観測が流された。これに対して、民主党の常任幹事会は党の総意として早期解散反対を表明した。しかし、14日の党首討論で野田首相は衆議院の定数是正と議員定数の削減を自民党の安倍晋三総裁に呼びかけ、協力するなら16日にも解散をすると明言した。安倍総裁は解散時期の明示に戸惑ったが、定数削減の提案を党に持ち帰り、協力を決定した。翌日の新聞各紙では、野田首相が安倍総裁を「一発で倒す」(朝日)、「虚を突く」(毎日)などと報じ、社説も解散の決断を支持していた。15日からの短時間のうちに民主、自民、公明の三党の合意により、特例公債法、「0増5減」の定数是正が国会で成立し、16日午後に衆議院が解散された。

同日午後6時から野田首相は記者会見を行い、民主党が目指す5つの基本政策を発表し、自民党との対決姿勢を明確にした。5本柱とは次の通りである。1.国民負担による持続可能な社会保障の実現。2.経済のイノベーションと対外開放。3.2030年代に原発ゼロを実現。4.穏健で現実的な外交。5.世襲政治の否定などの政治改革。

民主党議員のほとんどが即時の解散に反対したのは、単に延命したいからだけではなかった。選挙での強い逆風が予想される中、自民党あるいは第三極と戦うための争点と論理を準備しなければ戦いにならないという焦りが共通していた。13日から15日にかけて私は数名の民主党ベテラン議員と会ったが、野田の独走を「乱心」と評する者や離党を決意した者など、伝わってきたのは旗印のないまま解散に突入する野田への当惑や反発ばかりであった。

野田が記者会見で示した5本柱は、TPPを除いて、私のような社会民主主義系の学者が民主党に提言してきたものであった。野田が語気を強めて自民党の原発持続、公共事業乱発への回帰を批判するのを聞いて、これで対決の構図ができたかと少し気を取り直した。しかし、メディアの注目度は低く、解散そのものを伝える報道の洪水の中に沈んだ感がある。野田は脱原発を明言したが、脱原発を目指すまじめな議員の離党を止めることはできなかった。

まさに、野田が犯した誤りは、選挙に向けた手順の逆転であった。5本柱は記者会見で発表するのではなく、党首討論で安倍総裁を相手に放つべき弾丸であった。政策論争で攻勢をかけた上で、早期の解散を打ち出せば、選挙戦の争点は明確になったはずである。また、解散の後に良識的議員が離党することも防げたはずである。この手順逆転こそ、民主党大敗の最大の原因となるであろう。

世界 2013年1月号

続く


Comment:
2013/01/18 11:59 AM, 天狗の秘薬 wrote:
政治学では政治とは影響力の行使
などと言葉遊びが大好きなようだ
基本はどうとってどう使うかこれにつきるんだが

政治学のコンテキストでは包括政党とか
制空権とか 怪しげな単語が多い

包括政党なんてないだろ ただこの言葉使ってみたかったんですね わかります

本当に包括しようとしたら 誰にでもいい顔をするわけで いい顔するためには借金つみかさねて
その金をまいていい顔するするか
薄く広く取って薄く広く還元するしかない
ただ100万出して公務員に3割つまみ食いされて
もどってきても意味はない 朝三暮四
お猿さんならそれで満足なんでしょうが

包括しようとするといい結果は生まない
したがってポピュリズムとかわりなし

包括政党なんてないんでない?という話でした
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