2012.09.25 Tuesday 16:57

民主党代表選挙の感想

 民主、自民両党で党首選挙が並行して行われたが、政党政治への期待を取り戻すことはできないようである。今回の党首選挙には、今までにない大きな特徴があった。それは、国のあり方そのものを、そして日本の政党政治を根本から揺るがすような大きな危機の中でリーダー選びが行われたことである。

 前者は領土をめぐる争いであり、後者は二大政党に対する不信の蔓延(まんえん)とそれを養分とする日本維新の会の台頭である。しかし、民主党代表選挙に限ってみれば、危機感の欠如と党内の弛緩(しかん)した空気だけが見えてきた。今の政党政治にそのような危機に対処する知力も胆力もないことに、大方の国民は失望している。

 民主党では消費税増税に向けた調整でも、原発再稼働をめぐっても怒鳴りあいのような議論が行われた。それほど野田政権の政策に対する不満は党内に鬱積(うっせき)している。しかし、ほとんどの議員はそうした不満を党首選挙の中で具体化する意欲を持たなかった。

 細野豪志原発事故担当相を擁立する動きも、若くて見栄えの良い政治家を看板に据えるという程度の話で、本人が断ったのは賢明であった。野田佳彦首相に対抗する候補を一本化できなかった時点で、この代表選挙は終わっていた。1年ごとに首相を代えるのはみっともないという理屈もあるが、惨敗が予想される次の衆院選の敗戦投手を決める選挙だから、誰も必死にならなかったということであろう。

 確かに民主党に対する信頼が地に落ちている現状で、生き残りを策してあがくことには意味はない。それにしてもこの代表選は、3年間の政権での経験を総括し、原発や外交などの国難にどう対処するかを論じる最後の機会だったはずである。

 また、野党自民党では、2世議員たちが、そろいもそろって無邪気で無責任ともいえるナショナリズムの絶叫を競い、原発問題には知らぬふりをしている状況だ。与党らしく地に足の着いた政策論を展開する好機だったはずである。

 敗色濃厚の戦いで無駄な労力は使いたくないという気分もわかる。しかし、そうした無気力が政党政治全体に対する絶望を招いている。たとえ下野確実な状況であっても民主党★を誰が代表し、何をするために政権交代を起こしたのか、そのアイデンティティーを明確にしなければ、政党政治は無意味化する。右派ナショナリズムと大衆扇動の二者択一を望む国民がどこにいるというのか。

 大敗に向けての圧勝とは野田氏も皮肉な役回りを引き受けたものである。しかし、崩れゆく城の中で権力基盤を固めることにも意味はある。いささか尾籠(びろう)な表現を許してもらえば、目いっぱい臭い最後屁をひることに知恵を絞り、力を尽くすことこそ野田首相の最後にして最大の使命である。どうせ負けるという状況を最大限に活用し、けれんみのない政策を打ち出すことを期待したい。

 自民党とそれを支援する経済界には大いに嫌われればよい。権力を持っている間に、原発や近隣外交について、日本の将来を導く斬新な政策軸を打ち立てることができれば、民主党は★大敗しても、まだ日本の政党政治は生き延びることができるだろう。

共同通信配信 河北新報、熊本日日新聞など 9月24日

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