本紙の望月衣塑子記者と新聞労連委員長の南彰氏が著した『安倍政治100のファクトチェック』(集英社新書)を読むと、安倍政権の下でどれだけの虚偽、捏造、犯罪的行為が横行してきたか、改めて教えられる。日ごろ政治を観察している私でさえ、2、3年前のことについては記憶が薄れてしまう。でたらめの日常化こそ、安倍政治の権力維持のための高等戦略である。
権力者の嘘に慣らされてはならない。権力者による沖縄の人々や原発事故被災者に対するいじめや冷酷非情な仕打ちに対する憤りを絶やしてはならない。すべての人の尊厳と権利が保障される社会を実現することをあきらめてはならない。憲法12条で言う通り、自由や権利は我々自身の不断の努力によって保持しなければならないのである。
12年に及ぶ私のコラムも、今回が最後となった。途中、己の言説の無力さに意気阻喪することもしばしばあったが、読者の皆さんの励ましのおかげで今日まで書き続けることができた。心よりお礼申し上げたい。
筆を置くに当たって、今の政治の劣化状況がとめどなく続きそうなことは心残りである。しかし、民主主義を求める戦いは永久運動である。これからも様々な機会で、いろいろな方法を通して、読者の皆さんとこの戦いを続けていきたいと念願している。
東京新聞3月31日
- comments(182) | trackbacks(0) | - | - |