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フォーラム in 札幌時計台
フォーラム in 札幌時計台
3rd Series 2008 AUTUMN
チケットはお早めに!

「メディアのいま現在」
−ニュースの深層を読み解くためのレッスン−

<第11回> 9月12日(金)   18:30〜20:30
講師:西山太吉 元毎日新聞記者

<第12回> 10月2日(木)  18:30〜20:30
講師:斎藤貴男 ジャーナリスト

<第13回> 10月15日(水)  18:30〜20:30
講師:森 達也 映画監督

<第14回> 11月28日(金)  18:00〜20:00
講師:金平茂紀 TBS報道局長

司会・コーディネート:山口二郎

● 会 場
第10回、14回
北海道大学百年記念会館
札幌市北区北9条西5丁目
第11回、12回、13回
札幌時計台ホール    
札幌市中央区北1条西2丁目
● 入場料/各回 1,000円
● チケット取り扱い所
北大生協会館店サービスカウンター(北区北8条西7丁目)
くすみ書房(西区琴似2条7−2−5 メシアニカビル1F)
大丸プレイガイド(中央区南1条西3丁目 大丸藤井セントラル内)
※チケットは2008年7月1日(火)より発売開始
主 催/デモスノルテ
HP/http://demosnorte.kitaguni.tv/
お問い合わせ/TEL(011)706−3140
(北海道大学法学部 山口研究室)
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保守政治の歴史的限界

 日本政治を見ていると、あまりの起伏の大きさに、言葉を失う。三年前の九月は郵政解散で自民党は未曾有の大勝を遂げた。二年前には、自民党内の圧倒的多数の支持で、安倍晋三氏が小泉純一郎元首相の後継に選ばれた。

 一年前はその安倍氏が突然政権を投げ出し、福田康夫氏が首相に就任した。そして今年は、福田氏も同じように政権を投げ出した。今回の退陣は、福田氏個人の問題ではなく、日本の保守政治の歴史的な限界の現れととらえるべきである。

 戦後の保守政治は、外における対米追随、内における富の再分配を二本柱としてきた。この枠組みが揺らぎ始めたのは、冷戦が崩壊し、バブルがはじけた一九九〇年代である。

 このころ自民党は政治改革の激震にも見舞われた。しかし、新党勢力が再編の過程でまごまごするのを尻目に、自民党は他党を巧みに引き込んで政権を維持してきた。そして、改革を看板とした小泉政権の段階で、富の再分配による国民統合という伝統的手段を自民党は放棄した。

 安倍政権では、憲法改正という政治的争点を軸に新しい国民統合の手法を試みたが、あえなく挫折した。

 その後を襲った福田氏は、結局統治の基本構想を持ち合わせていなかった。小泉路線を継承して経済競争の徹底を進めるわけでもなく、安倍路線を継承してナショナリズムを鼓吹するわけでもなく、昔のような地方と庶民に優しい保守政治に回帰するわけでもなかった。

 この秋の経済対策をめぐる綱引きの中で、福田氏が自分の考えを明確にできなかったのはその現れである。

 今の自民党は、この十数年間の生き残りのためにさまざまな政策や人気取りの手法を駆使した結果、本来相いれないはずの理念や政策を抱え込んだ恐竜のような存在になった。小泉時代にふくれあがった自民党は、逆に政策的一体性という面では、きわめて脆弱(ぜいじゃく)になった。

 福田氏は退陣表明の会見で、参院における野党の抵抗が政策実現を阻んだと愚痴を言ったが、これは一国の最高責任者としてはみっともない責任転嫁である。

 何かの政策路線を選択すれば必ず与党にはあつれきが起こる。首相はそれに耐えきれず、重要な政策課題を先延ばしにした。一日夜の会見を見て、次々と言い訳を繰り出して夏休みの宿題ができなかったと始業式の時に泣き言を言う子どもを思い出した。

 自民党の混乱は結局この党が小泉氏を首相に据え、いくつかの政策転換を進めたことに起因する。たとえは悪いが、小泉は自民党にとっての覚せい剤であった。これを吸引した当座は元気になったような錯覚に陥る。改革という意味不明の言葉を振り回せば何かをしていられるような気分になれた。しかし、これに依存してしまうと、体はぼろぼろになる。

 今の自民党に必要なことは、政党としての原点を確認する作業、どのような日本を目指すのかという理念を固め直すことと、国民の声に耳を傾ける作業である。次の総選挙に向けて、自らのアイデンティティーを再確立しなければ、自民党は過去の存在になるに違いない。危機はそこまで深刻である。(9月3日共同通信配信(山陽新聞、信濃毎日新聞などに掲載))

at 00:00, 山口二郎, その他の新聞

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首相不在の1年間

 このところ、日本の首相は一体誰なのか分からない状態が続いている。臨時国会の召集は内閣の権限である。総理大臣がこうだと言えば、それで決まる話のはずだが、政府与党では臨時国会の召集時期や会期をめぐって延々と議論が続いている。この文章が読者の目に触れる頃には決着が付いているだろうが、このもたつきぶりは異常である。

 政策面でも、景気対策の大型補正予算を組むのか、小泉政権以来の「改革」路線を継続するのか、与党内の綱引きが続いている。この点でも、福田康夫首相の意志はまったく見えてこない。その他にも、インド洋での給油を続けるのかどうか、年金財政への国庫負担の増額分をどのように工面するのかなど、重大な課題が待ちかまえているにもかかわらず、この政権が何をしたいのか、まったく分からない。福田政権は脳死状態に陥ったようである。民主党が政策面でバラバラだという批評がよく聞かれるが、バラバラという点では自民党も負けていない。

 考えてみれば、昨年9月に安倍晋三前首相が政権を投げ出して以来、日本の政治は実質的に司令塔を欠いたまま漂流してきたようなものである。民主政治においては、権力は国民からの負託という正統性根拠を持たなければ維持できない。昨年の参議院選挙で大敗した後、自公連立政権は首相を代えようが、内閣改造を行おうが、民意の負託を得ることには成功していない。福田首相がどうあがいても、この政権が何かを実現する力を持つことはないのである。公明党がここへ来て、衆議院の3分の2による再可決という手法を取らないことを表明し、福田政権を揺さぶっている。その動機はともかく、これ以上民意から乖離したくないという判断は健全である。

 このような政治の閉塞を打開するには、やはり解散総選挙しかない。次の政権を誰に任せるか国民が決めることによってのみ、新しくできた政権は懸案を処理するための政治的な力を持ちうる。

 民主党では、小沢一郎代表の無投票再選が決まった。民主党としては当然の帰結であろう。政権をかけた決戦の前に、党内で論争をしている場合ではない。私は最近民主党議員を相手に話をする度に、「朝日新聞の社説など読むな」と言った。「開かれた代表選挙」だの「活発な政策論争」だの、中学校の生徒会長選挙のスローガンのようなことを並べていては、政権は取れない。政策論争など必要ない。民主党が政権を取れば、なすべきことは単純明白である。小泉構造改革でずたずたにされた社会保障、雇用、地域経済を立て直すことである。今は、民主党の政治家は地域を歩き回って、人々の苦しみを見、政治に対する切ない期待を聞く時である。

 臨時国会では、野党は全面対決の路線を取るべきである。レームダックの福田政権には、政策協議をするだけの能力も正統性もない。公明党が衆議院での再可決に消極的になれば、重要法案はまったく成立しない。そうなると、解散総選挙で政局を転換するしかないという流れになるであろう。

 一九九三年以来、日本の政治は長い回り道を続けてきた。その間、誤った政策によって日本社会は荒廃した。今こそ、国民を救うための政治の出番である。(週刊金曜日8月29日号)

at 00:00, 山口二郎, 週刊金曜日 政治コラム

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日本の首相は一体誰?

 このところ北京オリンピックの話題で新聞が占領されているが、その陰で政治については実に奇妙なことが起こっている。政府が9月に臨時国会を召集することは確実だが、その時期をめぐって政府与党内で議論が百出し、まだ結論が出ていない。

 憲法では、内閣が臨時国会を招集することになっている。内閣の長である総理大臣が、この日に国会を開くと言えば、それですむ話である。臨時国会をいつ始めるかをめぐって1か月以上も議論が続くなどという事態は、首相不在を意味する。

 国会をいつから、どのくらいの会期で開くかということは、景気対策のための補正予算の編成やインド洋での給油のための特措法の延長など、重要な政策課題と密接に関連するので、慎重に考慮しなければならない課題だろう。

 それにしても、これらの国政上の課題について方針を決め、指示を出すためにこそ、総理大臣がいるはずである。自分の判断で国会も開けないようでは、首相の政治生命も終わりである。

 子どもたちは夏休みの宿題を仕上げるのに必死になる時期である。首相は国政上の宿題をいつまでに、どのように仕上げるのか、国民に語るべきである。

 安倍晋三前首相が突然政権を投げ出して1年になろうとしている。リーダー不在の悪夢が繰り返されるのだろうか。(東京新聞8月25日)

at 00:00, 山口二郎, 東京新聞 本音のコラム

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戦争経験者の遺言

 もうすぐ85歳になる私の父は、まだ元気で、横浜で一人暮らしをしている。上京の際に時折会うが、最近は戦争の体験について話を聞くことが多くなった。政治的には決して進歩的な考えの持ち主ではないが、やはり人生の終わりが近くなると、戦争の愚かさを言い残したいと思うのだろう。

 父は、同世代の優秀な人から順に戦場で亡くなったと言う。その人々が戦後日本で活躍していれば、日本はもっとすばらしい国になっただろうにという悔いがずっと残っているそうである。戦争における死は、すべて非業の死、無念の死であるとあの時代を生き延びた者は断言する。私たちの世代にできることは、その無念さを想像することだけである。

 おびただしい無念の死の上に築かれた戦後の平和と民主主義を転覆するなどという浅はかな企ては、安倍晋三の無様な退陣により、とりあえず頓挫した。

 しかし、それを喜んでいる場合ではない。世界では、無念の死が繰り返されている。為政者が年中行事のように戦没者に対して平和を誓うなら、なぜ、アメリカがイラクで犯してきた犯罪的な戦争に荷担したことを反省しないのか。口先の平和こそ、戦死者を冒涜するものである。
非業の死を少しでも減らすことこそ、私たちにできる鎮魂の作業である。(東京新聞8月18日)

at 00:00, 山口二郎, 東京新聞 本音のコラム

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福田改造内閣の行方

 優柔不断の福田首相が8月1日に内閣改造を行い、秋の政局には新しい布陣で臨むことになった。嘘か本当か知らないが、何かの本で、第二次世界大戦末期にベルリンまで追い詰められたドイツ軍では、地下壕の中でヒトラーの側近がポスト争いをしていたという話を読んだことがある。今回の改造もその話を思い出させる。

 今の自民党を崩壊寸前のナチスにたとえるのはまことに失礼であり、自民党や福田政権の起死回生の策もないことはないだろう。それにはまず、内閣の目指す方向を明確にすることであり、首相自身が自らの言葉でこの内閣が何をするか宣言しなければならない。

 郵政民営化に反対して一度は自民党を追放された政治家が閣僚に起用されたことから、改造内閣では小泉政権以来の改革路線が交代したという論評も目立つ。しかし、その程度のメッセージでは、政策の中身は分らない。

 福田首相が、誤った構造改革によってもたらされた社会の荒廃を憂えているならば、それは結構な話である。ならば、残り少ない衆議院の任期の中で、何を実現したいのか、具体的に語るべきだ。少数であってもこれだけはぜひ実現するというテーマが必要である。
与党をまとめるために内向きのエネルギーを費やしていては、それこそ福田政権は崩壊への道をたどるであろう。(東京新聞8月4日)

at 15:51, 山口二郎, 東京新聞 本音のコラム

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追悼 赤塚不二夫先生

 赤塚不二夫先生が亡くなったというニュースを見て、久しぶりに「シェー」という言葉が口をついて出てきた。これではよくないのだ。先生にはもっとギャグを連発してほしかった。

 一九六〇年代に少年時代を過ごした私たちは、まさに赤塚作品とともに育ってきた。私は毎週漫画雑誌を買うことはできなかったので、手塚治虫などの長編ものには興味がわかず、赤塚ギャグが大好きだった。

 今に比べれば子供向けの娯楽は極めて限られていたが、それだけに漫画のインパクトは今とは比べ物にならないほど大きかった。イヤミ、チビ太、バカボンのパパなどの漫画史上を飾るキャラクターが活躍するさまを同時代で見ることができたのは、本当に幸せだった。

 先日、テレビで市川昆監督の『東京オリンピック』という映画を四〇年ぶりに見た。女子体操のチャフラススカの演技を見て、技術的には素朴だが優美さにあふれていることに感心した。技術の進歩がただちに感動的な演技を生むわけではない。

 同じことは漫画にも言える。赤塚作品は、子どもにも真似できるほど、絵としては単純だが、作品の破壊力は抜群であった。ギャグの根底には映画や文学に対する深い造詣があった。

 常に新しい笑いを求めた一生に、いつも教えられてきた。赤塚先生、ありがとうございました。(東京新聞8月11日)

at 00:00, 山口二郎, 東京新聞 本音のコラム

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希望格差社会の現実

 社会学者の山田昌弘氏が希望格差社会という本を出したのは4年前のことである。この本を最初に読んだときには、ネーミングのうまさに感心したが、事態はそんな悠長な感想を述べる段階ではなくなった。
希望格差を放置するとどんな社会が出現するのか、最近の若者による無差別殺人事件が教えている。犯罪を正当化するつもりは毛頭ないが、自分には希望があるからと希望を失った他人を放置すれば、自分にも累が及ぶかもしれない。本当の社会秩序は、みんなが希望を持つことによって確立される。

 7月23日のNHKニュースは、約10%の高校生が授業料免除を受けており、首都圏の高校では新入生の半分が学費を払えないために退学するところもあると報じていた。この事実は、2つの意味で衝撃的である。中等、高等教育は自己実現のために不可欠の前提である。高校中退では低賃金の仕事にしかつけない。また、学校こそ若者が人間関係を築く最良の場である。学校を離れることは、孤立への道を踏み出すことを意味する。

 貧困と孤立を放置して葉ならない。どこの党でもいいから、経済的理由で学校を辞めたり、進学をあきらめたりする若者をゼロにするという公約を打ち出し、実行してほしい。その程度の予算さえ出せないほどこの国の政治は貧困なのだろうか。(東京新聞7月28日)

at 00:00, 山口二郎, 東京新聞 本音のコラム

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